東洋医学では「脾胃」をいたわることが大切
東洋医学では、食べ物から身体に必要なものを取り込み、気や血を生み出す働きに「脾胃(ひい)」が深く関わると考えます。
ここでいう「脾胃」は、現代医学でいう脾臓や胃だけを指すものではありません。飲食物を消化・吸収し、身体に必要なものを届ける働きを含めた、東洋医学独自の考え方です。
気は、身体を動かしたり、活動を支えたりするエネルギーのようなもの。血は、全身に栄養を届け、身体を養うものとして捉えられています。
食事から必要なものを取り込み、全身に届けるためには、脾胃の働きを大切にすることが重要だと考えられているのです。
そのため、東洋医学では、食べるものだけでなく、食べ方や食事の時間、胃腸に負担をかけすぎない生活も養生の一部と考えます。
寒くなる季節は、食事を少し見直してみましょう
気温が下がってくると、冷たい飲み物や生野菜、冷たい料理が続いている方は、食事の温度や内容を見直すきっかけにしてみましょう。
東洋医学では、冷えは脾胃の働きに影響すると考えられています。
もちろん、冷たいものを食べたからといって、必ず胃腸の不調が起こるわけではありません。ただ、冷たいものを摂るとお腹が冷える、食後に不快感が出るという方は、温かい料理を選ぶことで食べやすくなることがあります。
例えば、次のような工夫がおすすめです。
- 冷たい飲み物ばかりでなく、温かいお茶や白湯も取り入れる
- 生野菜だけでなく、温野菜や煮物、汁物も食べる
- 食事を抜かず、自分に合ったリズムで食べる
- よく噛み、急いで食べない
大切なのは、無理に食事を変えることではありません。今の食生活を振り返り、できることから少しずつ取り入れてみましょう。
霜降の時期に取り入れたい旬の食材
秋から冬にかけては、さつまいも、れんこん、かぼちゃ、大根、にんじん、山芋などが食卓に取り入れやすくなります。
東洋医学の考え方と、現代栄養学の視点を組み合わせながら、それぞれの特徴を見ていきましょう。
さつまいも
さつまいもは、食物繊維を含む秋の定番食材です。自然な甘みがあり、蒸すだけでもおいしく食べられます。
間食や食事の一品として取り入れやすく、主食やほかのおかずとのバランスを考えながら楽しめます。
れんこん
れんこんは、食物繊維やビタミンCを含む食材です。煮物や汁物、蒸し料理など、さまざまな調理法で楽しめます。
歯ごたえがあるため、食べやすい大きさに切り、よく噛んで味わうことも意識してみましょう。
かぼちゃ
かぼちゃには、βカロテンや食物繊維などが含まれています。甘みがあり、煮物やスープにすると食べやすい食材です。
大根・にんじん
大根は煮るとやわらかくなり、汁物や煮物に使いやすい野菜です。にんじんはβカロテンを含み、さまざまな料理に彩りを添えてくれます。
山芋
山芋は、すりおろしたり、煮たり、焼いたりと幅広く使えます。食べやすい形に調理し、日々の食事に取り入れてみましょう。
東洋医学では食材の性質を独自の視点で捉えますが、食材の働きは調理法や食べる量、体質によっても異なります。ひとつの食材に偏らず、いろいろな食材を組み合わせることが大切です。
おすすめレシピ① 根菜たっぷり味噌汁
冷え込む朝や、温かいものが食べたい夕食におすすめの一品です。旬の根菜をまとめて取り入れられます。
材料(2人分)
- さつまいも:100g
- にんじん:1/3本
- 大根:3cm程度
- れんこん:50g
- だし:400ml
- 味噌:適量
作り方
- さつまいも、にんじん、大根、れんこんを食べやすい大きさに切ります。
- 鍋にだしと野菜を入れ、野菜がやわらかくなるまで煮ます。
- 火を弱め、味噌を溶き入れたら完成です。
お好みで、きのこや豆腐を加えてもよいでしょう。
野菜をたっぷり入れることで、食物繊維やさまざまな栄養素を摂ることができます。味噌の量は、塩分の摂取量にも気を配りながら調整してください。
おすすめレシピ② ほくほく蒸しさつまいも
もうひとつは、材料がひとつだけの簡単レシピです。
材料
作り方
- さつまいもをよく洗い、食べやすい大きさに切ります。
- 蒸し器に入れ、竹串がすっと通るまで蒸します。
- やわらかくなったら完成です。
蒸すことで、さつまいもの自然な甘みを楽しめます。
小腹が空いたときのおやつにも便利ですが、食物繊維が多い食品は、人によってはお腹の張りにつながることもあります。胃腸の調子に合わせて量を調整しましょう。
食材だけでなく「食べ方」も養生のひとつ
胃腸をいたわるために、もうひとつ意識したいのが食べ方です。
忙しいと、スマートフォンを見ながら食べたり、仕事の合間に急いで食べたりすることがあるかもしれません。
しかし、食事を急ぐと、十分に噛まないまま飲み込んでしまうことがあります。
よく噛むことには、食べ物を細かくし、唾液と混ぜ合わせる役割があります。唾液には、でんぷんの消化を始める酵素も含まれています。
また、ゆっくり食べることは、食事の満足感や満腹感に気づくためにも役立ちます。
まずは、次の3つを意識してみましょう。
- ひと口ごとに、よく噛む
- 食事の途中で箸を置き、少しペースを落とす
- 味や香り、食感を感じながら食べる
何十回噛むと決めて頑張る必要はありません。食べ物の形がなくなり、飲み込みやすくなるまで噛むことから始めてみましょう。
まとめ|毎日の食事から、胃腸の冬支度を
霜降は、秋から冬へと季節が移り変わる時期です。
東洋医学では、食べ物から気や血を生み出す働きに関わる「脾胃」を大切に考えます。
この季節は、旬の野菜を取り入れた温かい汁物や煮物を楽しみ、よく噛んでゆっくり食べることを意識してみましょう。
特別な食材をそろえたり、食生活を一度に変えたりする必要はありません。
いつもの味噌汁に根菜を加える。冷たい飲み物ばかりでなく、温かいお茶も選ぶ。食事の時間を少しだけゆったりと過ごす。
そんな小さな積み重ねが、日々の身体をいたわる習慣につながります。
寒さが本格的になる前に、食事から胃腸の冬支度を始めてみませんか?
